「閻魔参(えんままいり」/「閻魔詣(えんまもうで)」とは、閻魔堂の閻魔大王に参詣することをいい、
江戸時代には、特に正月の十六日の「初閻魔」、七月十六日の「閻魔の斉日」は江戸庶民が群集しました。
「東都歳事記」
「東都歳事記」に閻魔参として66か所が列挙されています。
「正月十六日
○閻魔参 世にゑんまの斎日といふ(以下66か所列挙)」
江戸三閻魔には丈六(高さ1丈6尺)の記載があります。
・浅草御蔵前 長延寺(閻魔丈六倶生神脱衣婆立像)(現杉並区:称光山華徳院長延寺) こちらで記載
・下谷坂本 善養寺(丈六)(現西巣鴨) こちらで記載
・四谷内藤新宿 太宗寺(丈六) こちらで記載
「七月十六日
〇閻魔参 閻魔の斎日と云 参詣の場所 正月十六日のくだりに記する如し」
地獄の閻魔王による審判の挿絵が掲げられています。
法廷には、八面鏡と呼ばれる大鏡がすえられ、死者の生前の行為が映し出されています。
「浅草年中行事 閻魔参」(台東区立図書館蔵)
閻魔堂(現:華徳院)の閻魔大王が描かれています。
「浅草閻魔堂」「蔵前閻魔堂」「浅草蔵前閻魔堂」とも呼ばれました。
「四ツ谷新宿太宗寺(えんま大王八仏師)」(歌川国輝 弘化4(1847)年3月)ボストン美術館)
太宗寺では、弘化4(1847)年3月5日に、泥酔者が閻魔像の目を取る事件が起り、
錦絵に描かれるなど江戸中の評判になりました。
【江戸・東京四十四閻魔】
下町タイムス社が平成元(1989)年7月に「江戸・東京のお閻魔さま四十四ケ所を歩く」というイラストマップを出版しました。
江戸の閻魔から、当時存在する44体を探して紹介したものです。
(以下参詣寺のみ)
第2番 宝珠院(港区芝公園)
第5番 太宗寺(新宿区新宿)
第6番 円照寺(新宿区北新宿)
第9番 源覚寺(文京区小石川)
第10番 法真寺(文京区本郷)
第11番 天王寺(台東区谷中)
第12番 長久院(台東区谷中)
第13番 清水観音堂(台東区上野公園)
第15番 法乗院(江東区深川)
第19番 萬福寺(大田区南馬込)
第21番 安養寺(大田区西六郷)
第23番 瀧泉寺(目黒区下目黒)
第28番 華徳院(杉並区松の木)
第29番 眞性寺(豊島区巣鴨)
第30番 善養寺(豊島区西巣鴨)
第31番 長命寺(練馬区高野台)
第32番 文殊院(板橋区仲宿)
第34番 乗蓮寺(板橋区赤塚)
第35番 東覚寺(北区田端)
第38番 金蔵寺(足立区千住)
第39番 勝専寺(足立区千住)
第42番 徳願寺(市川市本行徳)
第43番 正授院(新宿区新宿)
【その他】
智泉院(中央区日本橋茅場町)
興昭院(港区虎ノ門)
栄立院(港区虎ノ門)
常楽院(台東区上野)
西光寺(台東区谷中)
地福寺(北区中十条)
正光寺(北区岩淵)
明王院(足立区梅田)
常楽寺(足立区竹の塚)
龍岩寺(足立区辰沼)
正安寺(足立区東伊興)
西福寺(川口市西立野)
沼影観音堂(さいたま市南区)
金乗院放光寺(所沢市上山口)
【大きな閻魔像】
ネット検索で巨大でヒットした閻魔像を大きい順に並べると、
・典厩寺(長野市) 6m(日本記録認定協会)
・からくり閻魔堂(登別市) 6m
・太宗寺(新宿区) 5.5m(都内最大)
・三井寺(和歌山市) 3.9m
・深川ゑんま堂(江東区) 3.5m(謎の日本最大)