Discover 江戸旧蹟を歩く
 
 芭蕉ゆかりの地 要津寺


○要津寺(ようしんじ) 墨田区千歳2-1-16

    
 

<江戸切絵図>

 江戸切絵図には「要津寺」(要律寺と見えます?)と「門前丁」とあります。

  
 

<雪中庵>

 雪中庵とは芭蕉三哲の1人である服部嵐雪(1654〜1707年)の庵号です。
 三世雪中庵を継いだ大島蓼太(享保3(1718)年〜天明7(1787)年)は、深川芭蕉庵に近い当寺の門前に芭蕉庵を再興しました。

(説明板)
「<墨田区登録史跡> 牧野家墓所
 <墨田区登録有形文化財> 雪中庵関係石碑群
   所在 墨田区千歳二丁目一番一六号 要津寺内
 牧野家墓所は、区内の数少ない大名墓の一つです。代々旗本として仕え、五代将軍徳川綱吉の時に成貞が側用人に取り立てられ、関宿藩主となりました。要津寺は、成貞が下屋敷の一部である現在地に再興、成貞寺としましたが、父成儀の戒名から、要津寺と改称しました。その後、牧野家の下屋敷は緑町に移転。維新後も末裔の貞寧は、本所小学校(昭和二一年廃校)の学務委員を務め、地域社会の発展に貢献しました。
 雪中庵とは、芭蕉三哲の一人である服部嵐雪の庵号です。三世雪中庵を継いだ大島嶺蓼太は、深川芭蕉庵に近い当寺の門前に芭蕉庵を再興しました。これにより、当寺は雪中庵ゆかりの地となり、天明年間の俳諧中興期には拠点となりました。当寺には、蓼太によって建てられた嵐雪と二世雪中庵桜井吏登の供養墓や「雪上加霜」と銘のある蓼太の墓碑、四世雪中庵完来から十四世双美までの円形墓碑、宝暦一三年(一七六三)蓼太建立による「芭蕉翁俤塚」、安永二年(一七七三)建立の芭蕉「古池や蛙飛びこむ水の音」の句碑、天明二年(一七八二)建立の「芭蕉翁百回忌発句塚碑」などがあります。
  平成一○年三月  墨田区教育委員会」

  
 

「芭蕉庵再興集」

 芭蕉庵史跡展望公園(こちらで記載)に、「芭蕉庵再興集」のパネルが設置されています。

「芭蕉庵再興集
 明和八年(一七七一)に、大島蓼太が、芭蕉百回忌取越し追善のため、深川要津寺に芭蕉庵を再興した。その記念集『芭蕉庵再興集』所載の図である。庭中に流れを作り、芭蕉を植え、句碑を建て、傍らの小堂には、芭蕉像と芭蕉の帰依仏である観世音像を祀った。草庵の丸い下地窓、枝折戸が印象的である。画者子興は浮世絵師栄末斎長喜。(学習院大学蔵)」

   
 

<東京都旧跡>

 「中野ぎ謙墓」及び「島男也墓」の説明板も掲示されています(非公開)。

    
 

【雪中庵関係石碑群】

   
 

<服部嵐雪と二世雪中庵桜井吏登の供養墓>

 初代雪中庵服部嵐雪(承応3(1654)年〜宝永4(1707)年)と、二世雪中庵桜井吏登(天和元(1681)年〜宝暦5(1755)年)の供養墓です。
 安永5(1776)年、蓼太による建立です。

 「前雪中庵嵐雪居士
  後雪中庵吏登居士」

    
 

<「雪上加霜」銘の蓼太の墓碑>

 三世雪中庵を継いだ大島蓼太(享保3(1718)年〜天明7(1787)年)の墓碑です。
 天明7(1787)年に建立。初代と二世の供養墓の右隣にあります。

 「雪上加霜」

   
 

<四世雪中庵完来から一四世双美までの円形墓碑>

 四世雪中庵完来から一四世双美までの円形墓碑です。
 大正7(1918)年に建立。蓼太の墓碑の右隣にあります。

 「雪中庵」

    
 

<芭蕉翁俤塚>

 芭蕉翁七十回忌を記念して宝暦13(1763)年に大島蓼太が建立。

 「芭蕉翁俤塚」

    
 

<芭蕉句碑>

 芭蕉八十回忌を記念して安永2(1773)年に大島蓼太が建立。
 深川材木町(現佐賀町)に住んだ書家三井親和の筆です。
 江東区芭蕉記念館庭園に模刻の「古池や」句碑があります。

 「婦る池や 蛙飛こ無 水の音」

   

(参考)芭蕉記念館庭園(こちらで記載

 「婦る池や蛙飛こ無水の音」

  
 

<芭蕉翁百回忌発句塚碑>

 芭蕉百回忌を記念して天明2(1782)年建立。
 大島蓼太が病身のため百回忌を11年早めて発句の会を催しています。

 「碑に花 百とせの蔦植む  雪中庵蓼太」
 「芭蕉翁百回忌発句冢碑 門人翠兄建」(碑陰は見えず記録によります)

   
 

【境内】

<平和地蔵>

   
 

<潮(汐)時地蔵尊>

 潮(汐)時地蔵尊は、満潮の時間になると表面が濡れ、干潮になると乾いて、「しおどき」を知らせたことから、
 「汐時地蔵」の名がついたという伝説があります。咳の病に御利益があります。
 初代は損傷が激しく本堂に置かれており、二代目の潮(汐)時地蔵尊が祀られています。

   
 

<鳥居/石祠>

 鳥居と石祠。神狐がいるので、稲荷社でしょうか。

  
 

<六地蔵>

  


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