○ 高輪/芝車町/芝高輪北町
○ 高輪海岸の石垣石
○ 高輪築堤
高輪海岸の石垣石の横に港区旧町名由来板があります。
(説明板)
「高輪
この地は海より眺めて高台の繩手道から「高繩手」と称されていましたが、転じて「高縄」から「高輪」となりました。古くから海岸沿いに人家が点在していましたが、江戸初期に幕府が参勤交代のために東海道を整備し、これにより街道沿いに町が広がっていきました。
この地域には、高輪大木戸・願生寺・泉岳寺・東禅寺など多くの名勝があります。
芝車町
旧江戸の入口のこの地は、江戸初期には下高輪村と呼ばれていました。寛永11年(1634)京都の牛持たち(牛車運搬業者)が召し寄せられ、増上寺安国殿普請などで石材の運搬を勤めていました。市ヶ谷辺りの牛小屋に住んでいた牛持たちは御用が住んだ後も帰郷はかなわす、寛永16年(1639)三代将軍徳川家光の意向により、諸国から船で届
いた荷を運ぶのに都合のよい土地を与えられ移り住んで来たことにより、高輪海辺四町余を車町と唱えるようになりました。
明治2年(1869)頃にはまだ牛小屋が数軒残っていたいたため通称[牛町]とも言われ、「高輪牛町十八町、牛の小便長いネ〜」などと童子が唄いながら遊んでいたのもこの頃のことです。
芝高輪北町
古くは荏原郡下高輪村のうちで、人家は少なく海辺の繩手でしたが、江戸時代に入り街道が整備されて、高輪大木戸から品川宿までの十八町の間は引手茶屋などで賑わっ
ていました。中町・南町に対して北に位置していることから高輪北町と唱え、正徳3年(1713)町奉行支配となりました。
東海道から少し山手に入ると、北町の横に高輪北横町があり、武家屋敷や寺社の地となっていました。明治2年(1869)に高輪北横町と高輪常光寺門前、明治5年(1872)には武家地・寺社地を合併しています。」
(東都名所 高輪之夕景)広重(歌川広重初代)天保3〜5年(1832〜1834)頃
(東都三十六景 高輪海岸)広重(歌川広重二代)文久2年(1862)」
高輪ゲートウェイ駅の南西、桂坂下の第一京浜沿に「高輪海岸の石垣石」があります。
(説明板)
「高輪海岸の石垣石
ここに展示されている石は、江戸時代に、高輪海岸に沿って造られた石垣に用いられたものです。
平成7年(1995)、高輪二丁目20番の区有施設建設用地内の遺跡の発掘調査で出土しました。
石垣には、主に相模湾岸から伊豆半島周辺で採石された安山岩が用いられました。
発掘調査では3段の石積みを確認しましたが、最上段は江戸時代の終わり頃に積みなおされたものと考えられます。正面の小ぶりの石が積み直されたものです。3段目から下の石垣は現地でそのまま保存されています。
ー詳しいことは、港区立港郷土資料館でお尋ねくださいー
「東海道高輪風景 橋本貞秀画 文久2年(1862) 港区立みなと図書館所蔵」
平成13年(2001)5月 港区教育委員会」
<所在地>
高輪ゲートウェイ駅と品川開発で、「高輪築堤」が出土しました。
工事現場の隙間から垣間見ましたが、「高輪築堤」にはブルーシートが被せられ見ることはできませんでした。
港区教育委員会作成「高輪築堤出土」に写真と説明が掲載されていて詳しいです。
なお、佐賀県立博物館の屋外に、高輪築堤の一部を令和4(2022)年4月15日から再現展示しています。
<高輪築堤とは>
新橋〜横浜間の鉄道建設予定地には軍用地や薩摩藩の藩邸があり、激しい反発がありました。
そこで井上勝らは海上に堤を築き、その上に線路を通しました。
鉄道開業時の式典列車には、天皇皇后への説明係として井上勝が同乗、
政府首脳も同乗し、鉄道建設に反対した西郷隆盛も乗車しています。
「東京蒸気車鉄道一覧之図」(孟斎芳虎 明治4(1871)年)
高輪海岸の先の海の上に石垣を築いて鉄道が走っていました(錦絵の右下)。
海上には品川御台場が描かれています。明治3年(1870)フランス人の設計で完成した品川燈台も見えます。
「東京名勝高縄鉄道之図」(三代広重 明治4(1871)年)
海上には品川御台場が描かれています。明治3(1870)年フランス人の設計で完成した品川燈台も見えます。
東京−横浜往復の蒸気船「弘明丸」が見えます。
「東京名所図会 高輪の海岸」(三代広重)
築堤の石垣の間に、船を通すトンネルが見えます。
築堤の向こう側の海の上には台場が連なっているのが見えます。
「東京八ツ山下海岸蒸気車鉄道之図」(三代広重 明治4(1871)年頃 都立図書館蔵)
左端に明治5(1872)年の大火で焼失した築地ホテル館が見えます。
海上に連なる台場には、明治3(1870)年に点灯を開始した品川燈台が見えます。
八ツ山下の高輪築堤を走るマッチ箱のような蒸気車は、明治5(1872)年開業前に創造で描いているのでしょう。
「東京明細圖會 品川鐵道」(三代広重)
これから品川へ向けて、海上の築堤に向かう品川鉄道です。海上には品川台場が見えます。
「高輪牛町朧月景」(小林清親)
高輪牛町を走る陸蒸気が描かれています。
「高縄鉄道」(井上安治)