月岡芳年は、幕末から明治中期にかけて活動した浮世絵師です。
彼の描く人物や妖怪は型に納まっていないのが感心します。
「東京開化狂画名所」では、江戸風俗を文明開化の中に描いています。
「月岡芳年」(近代日本人の肖像 国立国会図書館)
「大蘇芳年像」(金木年景 明治25年 都立図書館蔵)
「夜をつめて照まさりしか夏の月 江海院よし年」
<ピックアップ>
「東京開化狂画名所 神田明神 写真師の勉強」(月岡芳年 明治14年 都立図書館蔵)
明治時代となり、神田明神の御祭神からはずされ御神殿を下りた平将門と7人の影武者が、
写真師の勉強のために、カメラを前にポーズをきめています。芳年の発想に驚嘆します。
「東京開化狂画名所 浅草観音年の市旧弊の仁王」(月岡芳年 明治14年 足立区立郷土博物館蔵)
年の市の賑わいに誘われたのか、秘仏の観音様も仁王を連れてお歩きになっています。
「東京開化狂画名所 尾張町 日報社田舎者の旧法」(月岡芳年 明治14年 都立図書館蔵)
日報社は明治9(1876)年12月31日に煉瓦社屋に移転、翌年の明治10(1977)年元日付から「東京日日新聞」を発行しています。
尾張町の「日報社」の花ガス燈の広告灯を田舎夫婦が拝んでいます。
文明開化の光である花ガス燈を初めて見て、あまりにもの明るさにありがたやと拝んでいるのでしょう。
月岡芳年は文明開化時代を端的に画いています。