江戸城北方の祈願所として葵の紋の使用を許された「慈眼寺」です。
やっちゃ場に近く文人墨客の出入りが多く、住職は建部巣兆と親交深く「巣兆寺」とも呼ばれました。
荒川辺八十八ヶ所霊場44番札所、荒綾八十八ヶ所霊場57番札所です。
【南門】
徳川家光の庇護を受け、寺紋は「丸に立ち葵紋」を使用しています。
南門から石畳の先に本堂があります。
<札所碑>
荒綾八十八ヶ所霊場57番札所の札所碑で、道標を兼ねています。
大正15(1926)年6月の造立です。
「荒綾八十八ケ所第五十七番 千住町ニ丁目 慈眼寺」
「是ヨリ元宿大師道中 一丁」
(説明板)
「慈眼寺
当寺は、新義真言宗で、山号を千龍山、院号を妙智院という。寺伝によれば、正和三年(一三一四)二月、行覚上人が関東巡錫の折に創建、三代将軍徳川家光の時、伝弘法大師作聖観世音菩薩像を安置し本尊とし、江戸城北方の祈願所として葵の紋の使用を許されたとされる。
幕末に編纂され、千住宿の故事を記録した『旧考録』によれば、弘化四年(一八四七)四月、東叡山寛永寺の山主(上野の宮様)慈性入道法親王が日光参拝の際、宿場本陣に支障があり、当寺が本陣を勤めた。以来、六度寛永寺山主の休息所となった。
また、文人墨客との付き合いが深く、特に江戸時代後期の画家建部巣兆との親交から、「巣兆寺」とも呼ばれた。
境内にある板碑(貞治六年銘)、地蔵菩薩庚申塔、庚申塔(寛文七年銘)が足立区文化財に登録されている。
平成二十六年三月 足立区教育委員会」
<消防記念碑>
参道右手に、大正12(1923)年建立の「南北消防組記念碑」があります。
「南北消防記念碑」
「南北消防保存會」
「南北消防記念碑建立六十年
記念事業碑
千龍山主了昭書」
(説明板)
「千住町消防組
昭和七年十月一日、足立区の誕生とともにこの地にあった千住町消防組屯所は、足立消防署(昭和二十二年八月一日千住消防署と改称)となり、近代消防が発足した。
消防組織の歴史遡れば、享保四年(一七一九)ときの江戸町奉行大岡越前守忠相の肝煎りで江戸町火消が生まれ、自治的な「いろは四十八組」が鳶の者によって組織されたのを始めとする。
千住も江戸四宿の一つとして栄え、東北路の要衝であったところから、文政十二年(一八ニ九)に戒坊更番所を建て町民が管理したという。安政年間には南北千住消防組ができ、明治以降は警視庁の指揮下にあったが、明治二十八年からは自治体の千住町消防組として活躍した。
ここにある南北消防組記念碑は、大正十二年四月に建てられたもので、創始以来の殉職物故者の氏名を記し慰霊顕彰している。
昭和五十七年十月一日 東京都足立区教育委員会」
<庫裡>
参道左手にある「庫裡」です。
【本堂】
左に「興教大師像」、右に「弘法大師像」が本堂をおまもりしています。
本堂左手にある石燈籠には精緻な龍が巻きついています。
十三輪塔があります。
本堂右手の「弘法大師千百年御遠忌記念」
天水桶に丸に立ち葵紋が記されています。
本堂に掲げられている扁額「大悲閣」です。
<板碑> 足立区文化財
本堂右手に板碑があります。
説明板に記載されている貞治6(1367)年銘の板碑でしょう。
【山門】
山門は東向きです。山門の扁額は「千龍山」です。
<煉瓦塀>
境内東側の煉瓦塀です。
<地蔵堂/日限地蔵尊>
山門入って右手の地蔵堂と線刻の日限地蔵尊です。
<納骨堂>
<宝筐印塔>
宝暦4(1754)年銘の宝筐印塔です。
宝筐印塔台石の右側面「宝塔建立十方 施主 願主」に「庚申講中」の銘も見られます。
<法界萬霊塔>
嘉永元(1848)年銘の法界萬霊塔です。
<庚申塔> 足立区文化財
庚申塔がニ基並んでいます。両基とも足立区文化財です。
・地蔵菩薩庚申塔(寛文7(1667)年銘)
左の庚申塔です。
左脇に紀年、右脇に「庚申待供養」とあります。
・地蔵菩薩庚申塔(万治3(1658)年銘)
右の庚申塔です。
上部に「奉納庚申待供養」、右脇に紀年が刻まれています。
台石に三猿が陽刻されています。
<橋本律蔵の墓>
<薬師堂>
戦前まで、この薬師の縁日は大盛況でした。
<弁天堂>
水のない池に石橋が架かり、弁天堂があります。
<豊川稲荷祠>
幟は「豐川ダキニ眞天」とあります。
【本堂右脇】
<鬼瓦>
<鳥獣塚>
千住猟友会の鳥獣塚で、昭和38(1963)年の建立です。
<B29無名戦士慰霊碑>
昭和20(1945)年4月13日、当時の足立区嘉兵衛町に墜落したB29(POCAHONTAS号)の搭乗員11名の慰霊碑です。
鳩と地球をモチーフにした「慰霊碑」と、平和祈念の石碑「無名戦士を弔ふ」があります。
当初、北加平公園に造られた墓碑は、足立区郷土博物館に保存・展示されています。
(足立区のサイトが参考になります。あだちの戦争)
・「慰霊碑」
・「無名戦士を弔ふ」
<石仏>
不動明王、聖観音、弘法大師ですかね。
<六地蔵>