○ 団扇車(うちはぐるま)
夏は団扇で涼むのが一般的だったようですが、
商家などでは、団扇車(うちはぐるま)という手回し扇風機も使用したようです。
<団扇売り>
「世渡風俗圖會」(清水晴風)
江戸の町民は、団扇売りから団扇を買いました。
<団扇車>
「新板車つくし」(重宣 安政2(1855)年)
おもちゃ絵「新板車つくし」に、色々な車が描かれています。中には「車エビ」も。
そんな中に「うちは車」があります。描かれているのは五枚の団扇が取り付けられた団扇車です。
おもちゃ絵にとりあげられているので、それなりに普及していたのでしょう。
「偐紫田舎源氏七編下」(挿絵:歌川国貞)
六枚団扇の団扇車を回しています。
「あつまけんしみたて五節句」(三代豊国 安政2年)
睡蓮鉢に浮草が浮かび、メダカと金魚が泳いでいるのを上から観賞(上見)しています。
6枚の団扇がついた団扇車を回して女性を扇いでいます。
団扇の絵柄は一枚一枚異なり風流です。
「千代田之大奥 入浴」(楊洲周延 明治28年)
江戸城大奥での御台所の入浴は朝で、大奥の湯殿に湯船はなく、かけ湯だけです。
湯上りの御台所が浴衣姿で手ぬぐいかけの脇で涼んでいます。
汗は浴衣に吸わせ、何度か着替えを行ったそうです。
<団扇車>
大奥でも団扇車を使用していたようです。
ハートマークの団扇が6枚ついた手回し扇風機の団扇車を女中が回して、湯あがりの御台所に風を送っています。
廻している女中の着物は朝顔の絵柄で涼しそうですが、六角形の歯車についた棒で回しにくそう。